スピード血統とスタミナ血統がなんなのかというのはなかなか難しい。遅筋や速筋だけで単純に説明できる物でもないと思う。テシオは何代か前までに必ずスピード血統の馬がいる(どっかのサイとで読んだだけだが)と言っていた。ただ私が見た限りではスプリント血統と言われる物はだいたいつぶれていっています。ヘロド系やザボス系、フェアウェイなんかもつぶれています。2000ギニー血統よりもダービー血統のほうが残ってきたのは間違いありません。
それでもファラリスやザテトラークのように、スプリンターの血が必要なのも確かなのです。ザテトラークが恐ろしい相性を示したのはネアルコだけではありません。ミスタープロスペクターにも実はそれまで入っていなかったザテトラークが母の父だけでなく、母の母にも入っているのです。でもなぜここまでファラリスやザテトラークのようなスプリンターの血が豊富に入りすぎるくらい入っているにもかかわらず、これらの血統はつぶれるのではなく、進化し続けているのでしょうか。
それは必ずしもファラリスやザテトラークの血統そのものがスプリント血統ではないからだと思います。この2頭は確かにスプリンターではあるのですが、特にザテトラークの父親なんかは長距離血統で、ザテトラーク自身もセントレジャー馬を2頭か3頭出していて、単順にスプリント血統とは言えません。この2頭は派生として生まれたスプリンター(潜在的には長距離血統の力も持ち合わせている)と考えるべきなんだと思います。隔世遺伝の中から生まれたスプリンターと言いかえることも出きるかもしれません。どの血統にもだいたいスプリンターはいますから(そういった血統しか残っていないだけなのかもしれない)その血がたまたま出てきただけで、血統自体がスプリント血統になっているわけではないのだと思います。
まあ、これに近いことは今までにも書いてはきているのですが、現在の血統を分析していく場合これは最も重要だと言うことに気がつきました。
歴史的に見るとやはりダービー血統が主流血統になっているのは間違いありません。しかし20世紀になって競馬もスピード競馬が主流になり(レース構成が変わってきたのも大きいと思われる。長距離レースの重要性はどんどん失われてきた。)、スプリント力がそれまで以上に要求されるようになったためにファラリスやザテトラークのような馬が主流血統を成すようになったのだと思います。これらから生まれる血統はクラシックディスタンスを十分にこなす事が出きる快速馬として活躍することができるのです。
それではサンデーサイレンスの血統を見てみたいと思います。サンデーサイレンスは前にも書きましたが、とにかくザテトラークの影響が強い馬です。まずマムタズビガムを通して、ロイヤルチャージャーが出ています。さらにマーマハルからヘイローが出ています。そしてこれはヘイロー系の特徴なのですが、母系にマームードのインブリードが入っています。サンデーサイレンスの場合は更に母の母にもザテトラークは入っています(ただこれはどの程度効いているかは分らない)。
ロイヤルチャージャーやターントゥ、ヘイルトゥリーズンはどちらかというとスプリンターのような気がします。これはマムタズマハルの影響なのではないでしょうか。特にヘイルトゥリーズンは一流(生粋)のスプリンターでした。それでも産駒のヘイロー(ニックスでファラリスの6×4)やロベルトはクラシックディスタンスで活躍していますからヘイルトゥリーズンも派生として生まれたスプリンターと考えていいと思います。サンデーサイレンスもクラシックディスタンスで活躍した馬です。母系には更にザテトラークが入っていますから見た目以上に快速の血は流れています。おそろしい切れ味もこの辺に理由がありそうです。
次にノーザンダンサーを見てみたいと思います。まずファラリスの4×6でニックスで重なっていますね。ここが一番この血統ではスピードを感じさせるところでしょうか。更にマーマハルを通しています。ただサンデーサイレンスに比べるとスピード血統馬の割合は少ないと思います。
ナスルーラはマムタズビガムの子供です。マムタズマハルの母系にはサンドリッジが入っているのですね。サンドリッジは名スプリンターです。どうりでマムタズマハルは凄いわけです。単純にナスルーラとサンデーサイレンスを比較するのは時代が違いすぎる気がします。ただロイヤルチャージャーやターントゥにはサンドリッジがいっぱい入っていますね。それを考えるとスピード血統の割合はサンデーサイレンスの方がやはり上でしょう。ネアルコ系の中ではサンデーサイレンスが一番潜在的にはスプリント力を持った血統かもしれません。
それとミスタープロスペクターを見ておきます。ミスタープロスペクターはニックスでファラリスの6×6になっています。それと母系には母の父、母の母両方にザテトラークが入っているのですが、サンドリッジも両方に入っています。これはサンデーサイレンスに匹敵するぐらい入っていると考えていいのではないでしょうか。ミスタープロスペクター自身もスプリンターでした。産駒はクラシックディスタンスで活躍しましたからスプリンター血統というよりは派生として生まれたスプリンターと考えていいと思います。ただこの血統はニックスの重なりに疑問のある血統ですから、それに関してはやはり問題を抱えていると考えます。
覇権争いをしている血統を見たのですが、細かいところまで見たとは思っていません。もし問題があればまた後で書き加えます。それとサンデーサイレンスやミスタープロスペクターのようにスプリンターの割合が多いからといって覇権をとれるとは限りません。ある程度まではノーザンダンサーにも入っていますし、デインヒルのような種馬も出ていますから単純には言えないと思います。ただある程度スピード血統の割合が必要なのも間違いありませんから、どの程度必要なのかを見極めたいです。
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